三行に折るThree lines, and the white between them
啄木は歌を一行で書かなかった。三十一文字を三つに折り、行と行のあいだに白い間を置いた。声に出せば消えてしまう一続きの調べを、目で追える三つの段に区切ってしまう——読む速さを、書き手の側で決めてしまう仕掛けである。
だから頁の白は余りではない。歌と歌のあいだにも、行と行のあいだにも、雪原ほどの白が挟まっている。第一歌集『一握の砂』は、この折り方で編まれた五百五十一首を収める。数の多さよりも、一首ずつが抱えている間の広さを見てほしい。