思ひ出といふものは、誰しも一番夏の思ひ出が多いであらうと思ふ。
――東京行きの汽車、大森の手前。前の席の婦人が、窓の外を指して。
あそこに見える家に、あたしをりますの。
――九州行きの汽車、球磨川ぞい。鼾をかいて寝ていた老人が、むくりと起きて一言。
あれはわしの女房の里や。
湖のいちばん底には、少年の夜が沈んでいます。祭の舟で、湖を渡った記憶です。
ふたりとも、窓の外の家を指差しています。横光がそうしたくてたまらなかった場所は、大津でした。
琵琶湖は、いまも夏になると光ります。写真は、いまの琵琶湖の港の実写です。
この一枚
胸にあるのは、夏のテーゼの一文と、いまの琵琶湖の港の実写です。
つくり手は47storiesJP。滋賀は横光の、この一文です。