幼なきより教へを受くれば、習慣うせがたく我を愛し給ふこと人に越えて、
今よりは構へて往来もし給ふな、稽古もいらぬ事なり、
不図ながむる空に白き物ちら/\、扨こそ雪に成りぬるなれ、
いとど降る雪用捨なく綿をなげて、時の間に隠くれけり庭も籬も、
田もかくれぬ畑もかくれぬ、日毎に眺むる彼の森も空と同一の色に成りぬ、
あゝ師の君はと是れや抑々まよひなりけり。
唯懐かしの念に迫まられて身は前後無差別に、免がれ出しなり薄井の家を。
嬢様この雪ふりに何処へとて、お傘をも持たずにかと
転ろばぬ様に行き給へと言ひけり、
無情かりしも我が為、厳しかりしも我が為、末宜かれとて尽くし給ひしを、思ふも勿躰なきは伯母君のことなり。
我が故郷を離れしも
我が伯母君を捨てたりしも、
此雪の日の夢ぞかし。
伯母君は我が上を歎げき歎げきて、其歳の秋かなしき数に入り給ひしとか、悔こそ物の終りなれ、
ふれば憂さのみ増さる世を、知らじな雪の今歳も又、
この一枚
胸にあるのは、すべてが決まった日の結びの一文と、雪の森の実写です。
つくり手は47storiesJP。山梨は一葉の、この一文です。
いまの山梨
人物は、生成AIが描いた架空の巡礼者で、実在しません。