三人の双生児 海野十三

尋ネ人……サワ蟹ノ棲メル川沿イニ庭アリテ紫ノ立葵咲ク。其ノ寮ノ太キ格子ヲ距テテ訪ネ来ル手ハ、黄八丈ノ着物ニ鹿ノ子絞リノ広帯ヲ締メ、オ河童ニ三ツノ紅キ『リボン』ヲ附ク、今ヨリ約十八年ノ昔ナリ。名乗リ出デヨ吾ガ双生児ノ同胞。(姓名在社××××)

川沿いの寮の光景は恰も一枚の彩色写真を見るようにハッキリと妾の記憶に存している。

その頃寮の中に設えられた座敷牢のような太い格子の内側で、毎日毎日温和しく寝ていた幼童

二人ならば双生児だし、三人ならばどうしても三つ子といわなければならない。

三人の双生児という有り得べからざる名称のうちに、何か異状の謎が語られていることになる。

あれは今からザット十五六年も前、四国の徳島で買った子だったがネ。

当時はなんでも八つだといったネ。病身らしい子で、とても育つまいかとは思ったが、肩のところにある瘤が気に入って買ってしまったのさ

とにかく何処の国にもある人売稼業の男から買った

娘と名はついているが、本当は安宅真一という男なんですが……あの肩のところに傷跡の残っている……

真一が頼ってきて遂に死んだ

「ほら、これが真二の首だよ」

「ああ、あの子だ」

色こそ褪せて居るけれど、彼の長く伸びた頭髪は、可愛いカンカンに結って、その先に色を失った三つのリボンが静かにアルコールの中に浸っていた。ああ、なんという可憐な顔だろう。

そうだ、今腹に宿っている両頭の子供を下すのは思い止まりたい。

例えそれが畸形児であろうとも、妾が母たることに違いはないのだ。

血肉を分けた可愛い自分の子に違いないのだ。流産して殺すなんてそんな惨たらしいことがどうして出来ようか。

妾は貞雄が向うの標本を眺めている隙に、独りで教室をドンドン出ていった。

この一枚
白い長袖シャツ。古い列車の車内で窓の外を見る小さな人物の写真に、「あれは今からザット十五六年も前、四国の徳島で買った子だったがネ。」の縦書き。
胸に、車内の写真とこの一言が入ります。

胸にあるのは、真一を買ったと語る親方の一言と、いまの徳島の列車の車内の実写です。

つくり手は47storiesJP。徳島は海野十三の、この一言です。

未販売です。

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いまの徳島
赤いシートの並ぶ古い車内。窓の外に曇りの景色が流れる。
いまの徳島、ローカル線の車内の実写。
人物は、生成AIが描いた架空の巡礼者で、実在しません。
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第三十二回で、『三人の双生児』の徳島を語っています。

#32 徳島『三人の双生児』を聴く