
ロケーション
福岡県福岡市
精神病院で目覚めた主人公の記憶の欠落から始まり、科学、遺伝、犯罪、宗教、妄想が幾重にも絡んで、真相の足場が崩れていく前衛的長編。文書や語りが入れ子状に積み重なり、読むほど現実感が揺らぐ。謎解きの快より、思考そのものが迷路化する恐怖が核にある。理性の限界と、人間の闇への好奇心を同時に刺激する。

胎児よ胎児よ何故躍る
母親の心がわかっておそろしいのか
英訳
Fetus, fetus, why do you dance?
Do you understand your mother's heart and are you afraid?
サマリー
引用文の概要と背景
この一節は、物語の冒頭に掲げられた「巻頭歌」の冒頭部分です。 『ドグラ・マグラ』という奇書の世界へ読者を誘う、非常に有名かつ不気味な導入詩であり、作品全体のテーマを象徴しています。
文脈
物語本編が始まる前、最初のページに独立して置かれています。 これから語られる、精神病院を舞台とした狂気、遺伝、心理遺伝(先祖の因縁が子孫に伝わること)といった物語の核心を、胎児の視点から暗示しています。
解説
「躍る」とは、通常であれば胎動(元気な成長の証)を意味しますが、ここでは「恐怖による身震い」や「苦悶」として捉えられています。 まだ生まれていない「胎児」が、へその緒を通じて繋がっている「母親」の精神の深淵(殺意、狂気、あるいは先祖代々の業)を直感的に悟ってしまい、その恐ろしさに腹の中で暴れているのではないか、という戦慄すべき解釈です。 血脈という逃れられない運命と、人間の深層心理に潜む闇を表現しており、読者に対してこれから始まる物語が「正気と狂気の境界」を揺るがすものであることを予告しています。
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