
ロケーション
鳥取県鳥取市 鳥取砂丘
山陰地方の旅の体験を、鮮烈な感覚と主体の声で詠み連ねる短歌。自然や土地の景が、そのまま恋や生の肯定感へ接続し、受け身の風景描写に終わらない。移動する身体の高揚と、ふと落ちる影が交互に現れ、旅の時間が感情の運動として記録される。晶子らしい、生命感の強い視線が前に出る。

沙丘踏み
さびしき夢に与かれる
われと覚えて涙流るる
英訳
Stepping onto the dunes,
I realize I am part of a lonely dream,
and tears begin to flow.
サマリー
歌の概要と背景
昭和5年(1930年)、与謝野晶子が夫・鉄幹と共に鳥取砂丘を訪れた際に詠まれた歌です。 現在、鳥取砂丘には、作家・有島武郎の歌碑と並んでこの歌の碑が建てられています。有島武郎は大正12年(1923年)にこの地を訪れた直後に心中しており、晶子はその亡き友・有島の面影を偲び、彼がかつて見たであろう同じ砂丘の景色の中に身を置いて、この歌を詠んだと言われています。
解説
広大な砂丘を踏みしめていると、現実感が薄れ、まるで寂しい夢の中に迷い込んだような錯覚に陥る。ふと我に返り、その夢の登場人物が紛れもない「自分」であると自覚した瞬間、たまらなく涙がこぼれ落ちてきた、という意味です。 「さびしき夢に与(あず)かれる」という表現には、目の前の荒涼とした風景が呼び起こす幻想的な感覚と、かつてこの地で孤独を噛み締めた亡き友の精神世界(寂しい夢)に、時を超えて自分も参加し共鳴しているという感覚が重ね合わされています。
Spotify
T-shirt Design

この作品は未発売です。下記よりご連絡いただければ販売いたします。
