
ロケーション
富山県射水市
港町を舞台に、土地に染みついた噂や因縁、人の欲と恐れが怪異として立ち上がる物語。怪談の形を取りつつ、焦点は幽霊そのものより、関わった人間の弱さや執念にある。日常の隙間から不穏が侵入し、説明し切れない後味が残る。土地の記憶が語りを増幅し、読者をじわりと追い込む。

見えるでしょう、お諏訪様が、おいらの方を向いて来る
英訳
Can't you see? The God is turning to face me.
サマリー
引用文の概要と背景
この一節は、物語の第四章、祖父の為作(いさく)が孫の源吉を連れて、お諏訪様の祠(ほこら)へお詫びに行く場面での言葉です 。
文脈
昼間、近所の子供たちに唆(そそのか)された源吉が「遊ぼう」と呼びかけたところ、本当にお諏訪様(白い蛇)が出てきてしまいました 。それを聞いた祖父の為作は「罰が当たる」と恐れおののき、塩と米を持って許しを請いに来ます 。為作が地面に頭を擦り付けて必死に謝罪している横で、源吉は再び現れたお諏訪様を無邪気に歓迎し、その姿が見えない祖父に状況を教えているシーンです 。
解説
「祟(たた)りを恐れる大人(為作)」と「純真無垢な子供(源吉)」の対比が鮮やかに描かれています 。 為作には何も見えず、ただ畏怖の念で震えているのに対し、邪気のない源吉の目には、神である「きれいな白い蛇」が親しげに近づいてくる姿がはっきりと見えています 。この「見える者」と「見えない者」の違いは、この直後に悪党の林田が見えない神を踏みつけようとして怪死する結末や、最終的に源吉が神主に選ばれる展開への決定的な伏線となっています 。
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