
ロケーション
神奈川県横浜市中区
自己の欲望と尊厳を守ろうとする女性が、恋愛・結婚・社会的評価の網に絡め取られていく長編。理想の自由は口で語れても、現実は金や家、評判が支配する。主人公の強さと脆さが同時に描かれ、読む側も簡単に断罪できない。近代日本のジェンダー規範と個人の葛藤が、濃い心理描写で迫る。

生きる以上は生きてるらしく生きないでどうしよう。
英訳
If I am to live,how can I not live like I am truly alive?
サマリー
引用文の概要と背景
この言葉は、物語の主人公・早月葉子(さつきようこ)の生き様と信念を象徴する、彼女自身の内面からの叫びです。
文脈
明治・大正期の封建的な社会道徳の中で、葉子は親が決めた結婚や「良妻賢母」という型にはめられることを激しく拒絶します。彼女は自分の美貌と才知を武器に、周囲の男たちを翻弄しながらも、真に魂を燃焼できる愛と自由を求め続けます。 この言葉は、世間体や妥協によって「死んだように」生きることを何よりも嫌悪し、たとえそれが破滅への道であっても、自分の本能と感情に従って「生」を実感し続けたいという、彼女の強烈な自我の表明です。
解説
「生きてるらしく生きる」とは、単に生存している状態を指すのではなく、自分の欲望、情熱、自我を極限まで発揮し、瞬間瞬間を完全に燃焼させることを意味しています。 有島武郎が描こうとした、本能のままに生きる女性の生命力(ヴィタリズム)と、社会の偽善に対する反逆精神が凝縮された一文です。しかし、その激しさは同時に、周囲との軋轢や孤独、そして最終的な悲劇をも予感させるものとなっています。
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