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茨城 / 岡倉天心『茶の本』

Okakura Kakuzo “The Book of Tea”
First published:1906
Location:Kitaibaraki, Ibaraki, Japan

作家
岡倉天心

初出
1906年

茶の湯を入口に、東アジアの美意識と精神史を語り、西洋近代の物質主義や二分法的思考を相対化する文化論。器物の趣味談ではなく、簡素・余白・不完全さを肯定する価値観の提示が中心にある。日常の所作に哲学を宿すという発想で、芸術と生活の境界を溶かしていく。

北茨城市 六角堂

はかないことを夢に見て、美しい取りとめのないことを、考えよう。

英訳(原文)

Let us dream of evanescence, and linger in the beautiful foolishness of things.

サマリー

引用文の概要と背景

この一節は、第1章「人情の碗」の最後を締めくくる言葉です。原文は英語で書かれています。

文脈

天心は第一章で、茶道が単なる飲み方の作法ではなく、不完全な人生の中に美を見出す「審美的な宗教(Teaism)」であることを説きます。 東西文明の衝突や世俗の争いについて語った後、彼は「その話はさておき、まず茶を一口すすろうではないか」と読者に語りかけます。そして、午後の光が竹林を照らし、茶釜が松風のような音を立てている静謐な茶室の情景を描写した上で、この言葉へと続きます。

解説

現実社会の争いや功利主義的な価値観(役に立つかどうか)から一時離れ、茶道という「美の聖域」に心を遊ばせようという、読者への優雅な招待状です。 「はかないこと」とは移ろいゆく無常の美を、「取りとめのないこと(原文:foolishness)」とは実利とは無縁の遊び心を指します。一見無用に見えるこの「美的な愚かしさ」の中にこそ、心を癒やす真の調和があるという、天心の逆説的な美学が込められています。

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