
弟子とともに北へ旅し、名所旧跡や自然の気配に触れながら、俳句と散文で時間の層を掘り当てる紀行。見たものの記録に留まらず、歴史の残響や無常観が、風景に重ねられて立ち上がる。移動そのものが精神修行のように働き、簡潔な言葉が濃い余韻を生む。

象潟や雨に西施が合歓の花
英訳
Kisakata―Seishi sleeping in the rain,Wet mimosa blossoms.
サマリー
句の概要と背景
『おくのほそ道』の旅の終盤、現在の秋田県にかほ市にある象潟(きさかた)を訪れた際に詠まれた句です。
現代語訳
雨に煙る象潟の景色は、まるで憂いに沈む中国の伝説的な美女・西施(せいし)のようだ。雨に濡れてうなだれている合歓(ねむ)の花が、あたかも彼女が憂いを含んでまぶたを閉じている姿のように見える。
解説
芭蕉は、陽気で華やかな「松島」を「笑うが如く」と評したのに対し、この「象潟」を「憾む(うらむ)が如く」、つまり愁いを帯びた陰の美しさを持つ場所と位置づけました。 雨に打たれる風景の寂寥感を、胸を病んでもなお美しかったとされる西施の姿と、雨の日に閉じる習性を持つ合歓の花(およびその薄紅色の花姿)に重ね合わせ、儚く濡れた美しさを象徴的に表現しています。
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