
留学先で出会った日本人教師への敬意と感謝を軸に、学問の場で受けた温情、同時に感じた民族的屈辱や醒めた視線を回想する。個人の善意が確かに存在する一方、時代と国家の関係はそれを簡単に踏み潰しうる。その矛盾を抱えたまま、作者が言葉の戦いへ向かう動機がにじむ。

煙草に一本火を点け、『正人君子』の輩が心底嫌う文字を、再び書き続ける。
英訳
I light a cigarette and continue writing the words that the 'upright gentlemen'deeply detest.
サマリー
引用文の概要と背景
この一節は、作品の最後を締めくくる結びの文です。医学から文学へ転向した魯迅が、恩師・藤野先生の写真を壁に掲げ、その眼差しに励まされながら執筆に向かう場面を描いています。
文脈
夜、仕事に疲れ怠け心が起きた時、先生の写真を見ると勇気が湧き、再びペンを執るという習慣を述べています。
解説
ここでの「正人君子」とは、文字通りの立派な人物ではなく、当時の中国で民衆を抑圧していた軍閥や、偽善的な保守層を指す強烈な皮肉(反語)です。 彼らが「心底嫌う文字」とは、社会の闇や不正を暴く魯迅の鋭い批判文章を意味します。恩師への敬愛を胸に、ペンを武器として古い社会体制と戦い続けるという、革命家・魯迅の静かながらも熱い覚悟が宣言されています。
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