
ロケーション
宮崎県椎葉村
狩猟にまつわる言葉や作法、共同体の決まりごとを手がかりに、生活の深層にある世界観を読み解く民俗学的記述。言葉は単なる名称ではなく、禁忌や信仰、共同体の秩序を背負うものとして扱われる。近代化で失われがちな「暮らしの知」を掘り起こし、地方の具体から日本の文化構造へ迫る。学術的でありつつ、現場の匂いが残る。

登百葉山が五万五千。
降百葉山が五万五千。
合せて十一万の御山の御神。
英訳
55,000 Ascending the Mountain of Leaves,
55,000 Descending the Mountain of Leaves.
Together, 110,000 Gods of the Deep Mountain.
サマリー
引用文の概要と背景
この一節は、宮崎県椎葉村(しいばむら)に伝わる狩猟儀礼や、狩人の唱え言(祝詞)について記した部分に登場する、山の神々を総称し、その数の多さと力を称える言葉です。 狩りにおける獲物の分配や、山の神への感謝、あるいは狩りの安全を祈願する際の儀式的な口上(唱え言)の一節として記録されています。
文脈
柳田國男は、椎葉村の村長・中瀬淳から聞いた話をもとに、この地の狩人(山立ち)たちが使う独特の言葉や儀礼を記録しました。 この言葉は、狩人が山に入る際、あるいは獲物を得て神に感謝する際に、自分たちが踏み入る山々にはこれほど多くの神々がいらっしゃるのだ、と唱え上げるフレーズです。
解説
「登百葉山(のぼりとやまやま)」
- 「百葉(とやま)」は、数多くの山々、あるいは深山幽谷を意味する当て字と考えられます(「十山(とやま)」や「遠山」に通じます)。
- これから登っていく(あるいは存在する)無数の山々の神々を指します。
「降百葉山(くだりとやまやま)」
- 下っていく山々、あるいは里に近い山々の神々を指します。
「五万五千」「合せて十一万」
山には至るところに神が宿っており、そのすべての神霊(御山の御神)に対して敬意を払い、その加護を求めるという、狩人たちの山岳信仰と畏敬の念が込められた荘厳な表現です。
具体的な数字というよりも、「無数」「森羅万象すべて」を表す定型表現です。
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