
ロケーション
山口県周南市
失恋、孤独、酩酊、憧れといった感情が、歌のような韻律と繊細な音感で編まれる詩集。感傷は濃いが、自己陶酔に沈み切らず、言葉の響きそのものが感情を運ぶ。都市の夜や雨、風の気配が反復し、若さの痛みが普遍化される。読むほどに、悲しみが音楽として体内に残るタイプの詩である。

ふかふか煙突煙吐いて、赤い火の粉も刎ね上る。
英訳
"Fuka-fuka", the chimney breathes out smoke, red sparks also leaping up.
サマリー
引用文の概要と背景
この一節は、詩集『山羊の歌』に収められた「雪の宵」という詩のリフレイン(繰り返し)部分に登場します。
文脈
冒頭に北原白秋の詩の一節(「青いソフトに降る雪は…」)を掲げ、雪の降る夜に酒を飲みながら、かつて別れた女性(中也の恋人であった長谷川泰子とされる)を想い、身悶えするような悔恨に浸っている場面です。 「ほんに別れたあのをんな、いまごろどうしてゐるのやら」と未練を吐露しながら、視線は建物の屋根にある煙突へと向けられています。
解説
「ふかふか」という柔らかい擬態語と、「赤い火の粉」という鮮烈な色彩の対比が印象的な表現です。 真っ暗な夜空と白い雪という冷たく静かな世界の中で、煙突から激しく噴き上がる「赤い火の粉」は、中也の胸の内で今も燻(くすぶ)り続け、ふとした瞬間に激しく跳ね上がる情熱や、やり場のない「悔(くい)」の情念を象徴しています。 静寂な雪景色の中に、自身の燃えるような内面を投影した、視覚的にも感情的にも鮮やかな一節です。
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